小学校の「英語科」授業を見てきました

先日、本年度から市内すべての小学校の全学年で「英語科」の授業をスタートさせた、群馬県は伊勢崎市の小学校にお邪魔してきました。

 
4/12発行号の朝日ぐんまに掲載されました
 
 

 ご存知のように、英語の授業はすでに全国の小学校で必修化されています。
それと今回のケースは何が違うのか?という部分は、少しややこしいので最初に簡単な説明を…。

 
2011年度から小学校で必修化されたのは週1回の「外国語活動」の授業で、対象は“56年生のみ”。
そして、伊勢崎市で今回導入されたのは、週1回の「英語科」の授業で、対象は16年生の“全学年”です。 
つまり、授業の名前と対象学年が異なっています。
 
 
で、「外国語活動」と「英語科」ですが、これは評価を行うか行わないか、という違いがあります。
「外国語活動」の場合、道徳などと同じ扱いになるため評価は行われません。
対して「英語科」は、国語や算数などの“教科”扱いとなるため、通知表にもばっちり評価がつきます。テストもあります。
 
とはいえ、「教科になったから、文法も取り入れて高度な早期英語教育をー!というわけではなく、2つの授業とも、目指すところは「英語の音や表現に慣れ親しむ」こと、そして「コミュニケーション能力のベースを養う」ことにあります。必修化と聞いて、“これまで中学からスタートしていた学習内容を小学校からスタートする”と勘違いされている方もいるようなのですが、小学校では文法の説明などは行われません。何というか、、「英語っていう言葉があるよ、使ってみようよ」という感じの授業、、という印象を私は受けました。
 
 
私が取材に伺ったのは、「英語科」を先行実施していた小学校の3月の授業。1年生と5年生の授業にお邪魔しました。3月と言えば、学年総まとめの時期ですから、この1年の成果を見せてもらえるとあって非常に楽しみでした。
 
取材させていただいた小学校の階段の壁。壁だけじゃなく、階段にもいろいろ貼ってあった!
お昼休みには英語のアニメが上映される”English Street”っていう渡り廊下も。
 
 
まずは1年生。日本人の英語指導助手(JTE)と担任の先生で授業が行われたのですが、とにかく子どもたちのテンションが高い!!聞けば、みんな週に1回の英語の授業を楽しみにしていて、英語科の授業がある日は朝からテンションが高いそう・・。
 
そして、何より驚かされたのは子どもたちの発音の良さ!「バナナじゃなくって、バナーナ!(Banana)」とか、「キュウリじゃなくって、キューカンバー!(cucumber)」とか音楽に合わせて歌ってたのですが、このキューカンバーの“バー(ber)”の発音までお手本どおりでビビリました。(なかなか難しい発音だと思うの)
 
本当にたくさんの英単語を覚えていてそれも驚きだったのですが、アルファベットではなく、絵、音楽、動作と結びつけて英語を覚えていました。どういうことかというと、
リンゴの絵を見る→「これはリンゴです」→「リンゴはAppleと書く」→「Appleはアップルと読む」→「リピート・アフター・ミー」ではなく、
リンゴの絵を見る→「リピート・アフター・ミー」で覚えている感じでした。
母国語を覚え方に近いですよね。耳もいいので、お手本通りに発音していました。初等教育ならではの成果なのでしょうか。
 
(子どもたちの耳が良すぎて、“Tuesday(チューズデー)の発音が「チューしてー!」に聞こえるそうで、先生が”Tuesday”と言うたびにJTEの先生に「チューしてー!」って言ってたのがかわいかったです笑)
 
 
続いて5年生の教室。1年生に比べると、ぐっとお兄さんお姉さんの落ち着きが出てきていましたが、それでもやっぱりテンションが高め。“英語の授業は楽しい時間”という捉え方のようです。外国語指導助手(ALT)と担任の先生で授業が行われます。
この日は、ここ何週間か勉強してきた「What do you want to be?(あなたは将来何になりたいですか?)」のまとめの授業。それぞれ自分のなりたい職業を英語で用意して、「What do you want to be?」、「I want to be a baseball player.(野球選手になりたいです)」という感じで、クラスメートとインタビュー形式で会話に挑戦していました。黒板やプリントに書かれたアルファベットは書き写していますが、単語の暗記や、文法の説明等はありません。(英会話の授業に近いのかな?)
 
(実は私、大学時代に初等英語教育に力を入れている先生の授業を取っていたのですが、そこで聞いた理論なんかを途中でいろいろと思い出しました。その時は、ふーんと思っていましたが(笑)、今回見せていただいた授業の中でこれらの理論がバチバチと実践されているのを見て、「こうやって使うんかー!」とかなり興奮しました。理論からは想像できない、見ているほうまで嬉しくなるような、楽しい授業で驚きました。)
 
1年生の授業で使われていたカード。アルファベットは下に小さく書いてあるけれど、
子どもたちは絵で反応していました。50枚くらい?すべて覚えていてびっくり!
 
伊勢崎市が、区域内すべての小学校の全学年で「英語科」を導入するのは本年度からですが、実はもう長いこと小学校英語の取り組みを行ってきたのだとか。かれこれ10年ほど実践と研究を重ねて、現在は市独自の“効果的な指導方法”(通称、“伊勢崎英語メソッド”とか呼ばれるらしい)が確立したそうです。
 
先に導入した学校では、「英語科」を1年生から始めたことで、他の教科でも「聞く」、「話す」の能力が向上しているという話を聞きました。英語に慣れておくことで、中学校の授業にもスムースに入れているとか。(今後、小学校1年生から英語教育をスタートしようと考えている学校や自治体の関係者の方は、伊勢崎英語メソッドを一度見学されると良いかも。)
 
そして、群馬県では伊勢崎市の他にも大泉町が2005年から「英語科」を全学年で導入しています。“グローバル化時代”に合わせて、これからますます取り組みが広がっていきそうですね。
 
ちなみに、、、小学校5年生の「将来なりたい職業」は、ほぼ同数で「野球選手」、「サッカー選手」、「ゲームクリエイター」でしたよ。(女の子は結構ばらつきがあった) ゲームクリエイターって職業、、私が小学生の時にはあったっけなぁ、、と「イマドキの小学生」を実感したのでありました・・・。(あと、科学者、スタイリスト、パティシエ、プログラマーもいたかな・・・)
 
この取材の記事は、4/12発行の朝日ぐんまに掲載されました。
お約束ながら、、、朝日ぐんまの入手方法は:
1. 群馬に住んで朝日新聞を購読する(金曜日に発行します)
2. 発行日に県内のコンビニやスーパーで朝日新聞を買う。(中にはさみ忘れる所もあると聞いたので、ご購入の前には中身を確認してね!)


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