ジャパニーズ・イングリッシュ

この前の投稿でご紹介した「小学校英語」について、私が個人的に感じたことを書いてみたいなと思います。(あくまでもこれは私個人の感想で、記事掲載社の意見ではありませんので念のため・・。)

 
小学校から英語の授業がスタートする、という話だけはニュースで聞いて知っていたのですが、特に興味を持ったきっかけは、よく行く電気屋のお兄さんの「今の子は3歳からでもスマホでゲームするし、小学校で英語を勉強するからペラペラなんですよ」という言葉。
えっ、そうなの?インターナショナルスクールとかじゃなくて、公立の小学校でも英語がペラペラに!?・・・それは羨ましい、、、同じ群馬の田舎町で英語好きで育った人間としては、ヨダレを拭いても拭いても拭ききれない、、、と思いました。(単純でごめんなさい。)
 
 
それと同時に「英語がペラペラになる」授業を小学校でやった場合、まだ日本語の基礎を習得途中なのに、混乱しないのかしら?とも感じました。
 
と、言うのも。住む場所や家庭環境のために幼少時から複数の言語を使っている人(たとえば、お父さん、お母さん、学校の先生がそれぞれ別の言葉を話すとか)などから、ちょっと大変だったと聞いたことが何度かあったためです(言語が混ざるとか、、。それなら今の日本語もルー大柴も横文字ばっかりだろ!って話もあるけど、それは置いとくわ)。 
 
日本の公立小学校 + ほとんどの生徒の家庭が日本語だけの環境 + 街の中で英語を使う機会はそうそうない群馬県 で、いったいどうすれば日本語/英語がペラペラになるのか!そんな授業ぜひ見たいぞ!見せろ!いや、見せてください!という気持ちでおりました。(だから今回の伊勢崎市の小学校英語に取材が決まった時はすごーく嬉しかった!)

指定教科書ではありませんが、多くの小学校が使っている
英語のテキスト。中も絵がいっぱい!

 

前置きが長くなりましたが、公立小学校の実際の授業を見た感想。
一般の小学校よりも進んだ英語教育を行っているとはいえ、これは「英語が堪能な子供を育成する」ための授業ではありません。 どちらかと言うと、音楽とか図画工作のような新しい自己表現方法の紹介という雰囲気を感じました。

文科省でも小学校英語の目標は、「外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しむ」こと、「コミュニケーション能力の素地を養う」こととしています。つまり、英語という言葉に触れながら、「聞く・話す」という力を高めたいということですね。私が目にした授業は、まさにこの目標に沿ったものでした。
 
小学校で英語が必修化される前、外で英語に触れる機会がない場合は、中学1年の4月に初めて英語に触れることになります。今はどんな導入からスタートしているのか分かりませんが、11学期のテストには確実に英語の読み書きがあります。(中学校で英語の教育実習をしましたが、けっこう学習内容が多かった!そして必死だった、、) 初めて触れる言語、突然現れる「スペリング」と「文法」という世界。ここで「英語キラーイ」になってしまう人も少なくないと思います。
 
これは私が大学生の時に教育実習で用意した絵。へへへ。
There is/There are(~がいる/ある)の単元を担当したのですが、右側の絵で生徒に
「英語の言い方はわかるけど、絵が犬か猫か分からない」と言われた思ひ出・・・。

 

公立小学校で英語を勉強する最大のメリットは、この「スペリング」や「文法」を持ち込まずに、英語という言語と触れ合える点だと思います。(今のところ、英語を書き写すテストはあっても、暗記して書くテストは行われていません) 26年間、こうして英語の音や形に親しんでいれば、中学で”I am Ken”、はいこの”am”be動詞~!と始まっても、「聞いたことある、使ったことある」とスムースに入り込めるのではないでしょうか。コミュニケーションについても、小学校からクラスのお友達やAETと英語を使って会話していれば、話す前から「ひぃーガイジンさんだー!」と固まる割合は確実に減ると思います(笑) まぁ、どうやっても文法とか単語の暗記とかは避けられないものですが、それでも導入でつまずくのとつまずかないのでは、かなりの違いがあると思います。
 
あと、全員が英語に触れるチャンスができた、っていうのも大きなメリットだと思いました。だいたい親の意志か、周りのお友達の環境で子ども英語教室(あの子どもが歌いながら英語喋ってるCMみたいなお教室のことね)の扉を叩くケースが多いと思うんですが、そういうチャンスがなかった子は、いきなり中学で出会うことになります。そうすると、英語の文法ヤダ暗記ヤダに焦点があたってしまって、「英語のリズム」とか、好きになれそうな部分を見逃す可能性もありますよね。 音楽、図画工作、体育、理科、歴史、算数、、、みんなそうかも知れませんが、自分が好きになれそうなものと知り合いになるチャンスが増えるのは良いなぁとおもいます。
 
(あと、行く前に考えてた「日本語との混乱」は、私の勉強不足による誤解で、、、宿題もない週150分の授業だけで、子どもの日本語力に影響は出ないだろうと思いました・・。)
 
 
結局は「英語ペラペラ」になる授業ではなかったわけですが、そもそもこの「英語ペラペラ」について、、、。国際化で需要が高まっていることは間違いない「英語」ですが、このところの「全員英語ペラペラ必須!」みたいな流れには、私はかなり疑問を感じています。もちろんペラペラに越したことはないと思うけど、誰もがそこを目指す必要はないんじゃないのかなぁ・・・。知ってる単語を並べるとか、ジェスチャーを使ったり、絵を描いたり、、どんな方法でも思いが伝わればそれで良いのでは、、発音にしても、誰もがネイティブ級を目指さなくても、通じればそれでいいんじゃないかと思っています。(むしろ、ジャパニーズ・イングリッシュの発音は個性的で魅力だと私は感じています。別名、「開き直り」とも言う笑)
 
やっぱり、好き・嫌いもありますし、自分を表現する方法は言語だけではないと思うので・・・。音楽やファッションで自分を表現するのが得意な人もいますよね。やっぱり好きなことや得意なことを伸ばすのがいちばん上達すると思いますし、それがグローバル化に対応できる自分のスキルになるんじゃないかなと思っています。(言葉の問題だけなら、通訳を入れればいいんだしね)
 
なんて偉そうなこと言ってますが、偉そうついでにもう一つ・・・。
 
翻訳の仕事してるんです、と言うと、よく「どうやったら英語が出来るようになりますか?」と聞かれることが多いのですが、必要なこととか、あとは好きなものから入るのがいいかなと私は思ってます。野球が好きだったら、大リーグの雑誌とかテレビ中継を英語で見るとか、、ゲームが好きなら英語版のゲームをするとか。そこで必要性を感じたら、辞書引くとか文法を確認したり。最初から、文法とか構文だけ覚えようとすると、、結構ツライし頭に入りにくいと思うので・・・。

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